真夏の新宿。蒸し蒸しする雑踏の中から、突然「泥棒だ!」という聲が起った。捕った少年は、追手の前で素裸になり、ひらきなおった。その有様を見ていた一の人學生が、紀伊國屋書店へ入ると、數冊の本を抜きとった。その手首をしっかりとつかんだのは厳しい表情の女店員だった。紀伊國屋書店の社長田辺氏は叱りもせず學生を許し、女店員は三度目までは大目にみるのだと笑った。學生は再び、萬引を宣言し、実行した。ところが田辺氏は、岡ノ上鳥男という學生を許したばかりか金まで與えた。鳥男は女店員のウメ子に、手首をつかまれた時の感覚を、まるで射精してるようだ、と語った。それから、ウメ子もネグリジェを盜んだ。そして鳥男を挑発し、鳥男は彼女を抱いた。しかし、鳥男との情事は彼女の想像とは違った空しいものだった。その夜、ウメ子はスナックで暴れ、田辺氏が彼女をもらい下げに留置所を訪れた。田辺氏は...                  

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